2010/02/04

日刊廣島 平成22年1月1日号より 「あってはならない!」広島市・子どもの権利に関する条例  その3

市の言い分

 橋本 こども未来局の話しや、市が各区のPTAを集めて説明する時に必ずおっしゃるのが「いじめがこれだけある、暴力がこれだけある、つらい思いをしている子どもがいる」という説明が主で、だから条例がいるんだとそればかり。我々が反対している理由の一つは、全体でゼロ歳児から十八歳までを権利だけで括って何を教えるのかということなんですね。
 虐待防止ならすでに虐待防止条例もある。色々あるけれど知らない方が多いわけですから。子供の権利を謳った子供の育成なんて有り得ないし、現実には、条例でイジメが無くなるわけではない。「いじめられたくない」と言っていじめられなくなる訳ではない。「殴られたくない」と言ってもケンカが収まる訳ではない。そんな訳はない。現実からは乖離している。現実論で、具体論で対処しないと、権利でくくっても実際には守れない。

 渡辺 いじめ、暴力は実際には増えている。いじめを本当になくそうと思えば「規範意識や道徳をこのように教えていくことになりました。市民の皆さん協力してください」と言えばいくらでも協力する。例えば「万引きはゲームじゃない」という県のキャンペーンは今でも広く店舗でアナウンスされています。

 橋本 喜んで協力しますよ。「子供はこの町の宝です」とか「いじめ、暴力は恥ずかしい行いです」とかね。

 渡辺 市民をあげてキャンペーンをすれば少しはいじめも改善するのではないでしょうか。

 橋本 ホントにね、なぜこんな条例をやろうとしているのか分からない。我々の税金を使ってね。

 渡辺 PTAが多くの反対意見を持ち込んでも公表もしていただけないし。

 橋本 市は市P協を説得しようとして、指導二課を通じてやっていますがいまのところ、はねつけているようです。今後もPTAは反対していくと思いますが。

 福田 いくら反対したってそれでもやるって言うんだから。

 橋本 我々市民がフォローしますよ。

 ―そんな状況でなぜごり押しするのか、説明もされないとなると、意図・真意がどこにあるのか疑問ですね。

 福田 中身を理解した人は皆んな大反対ですよ、反対意見はすさまじい。会場で怒号が飛び交うほどでも市当局は全く動じませんよ。指導二課が入ったのもPTAが反対しているのを抑えようとしてだと思う。本当にね、(市は)賢い人が集まっているところとは思えません。普通に考えればこんなものいらない、あってはいけないと分かる。私はいつも泣きそうになって帰るんですよ。なんでわからないのって。

 渡辺 条例制定は、ある団体が市の特別委員会にもちかけたのが最初だそうです。市議会には教育に詳しい議員や条例に問題意識を持っている議員もいますが、大多数の議員さんは最初「何だかさっぱりわからん」と。しかし最近では皆さん、よく勉強して下さっているようです。

社会適応できるのか

 福田 適応障害の患者さんが今とてもたくさんいて、それも二十代から四十代前半っていう若い人にとても多い。看護師として関わっている友達に子どもの権利に関する条例のことを話すと、これ以上子ども達に権利を主張させ、権利を盾にして育った子供が十八才になったとする。果たして社会に適応できる大人になっているか、自分はそうは思わない。子供達は弱くなってしまうんじゃないか。そういう条例は「あってはならない」と。

 ―権利条例の下で育った子供が将来会社に入り、企業人として社会を担っていけるのか、企業はどう考えるでしょう。それでなくとも近年、企業が若年層社員への対応に苦労しているという話はよく聞きます。

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